暖機運転や暖機走行の是非は意見も様々で、これが正解!ってことは断言できないかもしれませんが、普段の暖機走行でクルマの変調に気付くことはできます。
そんな暖機の具合から異変を感じとった「オーバークール」と言われる症状に初めて陥った自車を例に、症状の見分け方、実際にかかった修理費用を紹介します。気になる方は参考にしてみてください。
はじめに
身体を使ったスポーツにおいてもウォーミングアップが行われているように、なるべくクルマがベストな状態(機械がきちんと動作する温度帯)で運転操作を行う方が、永い期間で無用なトラブルを避けられると考えています。
クルマの暖機は、自身のモータースポーツの経験や独特な新車の慣らし運転を行った経験から、クルマの中で特に重要なエンジン周りの故障を防ぐ意味でも推奨しています。
【オーバークールを疑った症状】

※今回異常を感じた車両は、ディーゼルエンジン車となります。
実際に感じたクルマの異変
- クルマの暖房(ヒーター)の効き具合が弱い
- メーター内の水温警告灯の青ランプがなかなか消えない
(水温計の針がH方向に上がりにくい) - 最近燃費が悪くなった気がする
- いつもよりエンジンルームからの振動を感じる
- いつもより排気ガスが臭い
異変を感じた理由
オーバークールと言われる状態とは、その名の通りエンジンが冷えすぎてしまうこと。それは端的に言って、外気温が低い時期に走行風の冷たさも加わってラジエーターの冷却機能がエンジンの発熱よりも勝ってしまっているからです。
そのためエンジンが通常よりも冷やされているので、症状としては、エンジンの熱を利用するヒーター機能の低下や、水温計の温度上昇に時間がかかります。
また、コンピュータ制御されているエンジンは、適正範囲の温度まで上がるように燃料を多く消費してより多く燃やそうとするので、必然的に燃費は悪化します。そういった意味で燃焼効率が悪化したディーゼルエンジンでは、エンジンオイルが古くなった時のような排気ガスの匂いを覚えます。
ただし、オーバーヒートのように即刻エンジンが壊れる恐れのある性質のものではないため、すぐには気付かずに見過ごしてしまうかもしれません。
一般的に、水温警告灯 青 は50℃くらいで消灯、エンジンの適正な水温は70~90℃くらいとされています。
(追加メーターは設けていませんが恐らく自車は50℃付近で走行していた模様)
【オーバークールの原因探し】

故障事例
自車の場合、2021年11月初旬ごろから水温警告灯(青ランプ)がなかなか消えない症状が出始めました。(新車購入から6年半経過)
それから徐々に気温が下がってきた際(12月)に、水温警告灯の消灯までに街乗りで走り始めてから20分以上、郊外へ行くと30分ほどにまで延び、このころには暖房(エアコンでも)温度をMAXにしてもやや温い送風にしかなりませんでした。
更に、一旦水温警告灯が消灯したことを確認してから、外気温7℃の時に高速道路を走行し、エンジン回転数を上げていても数分で再度水温警告灯が点灯。
この時点で水温センサー異常も考えられましたが、過去に乗っていた車で体験した水温センサーの故障では、エンジンチェックランプが点灯したので今回はそれ以外。
そして実際にエンジンルームを開けてラジエーター周りの部品からラジエーターホースまで、直に触れて高温になっていないかを確かめても冷たかったので、真冬なのにラジエーター(サーモスタットのバネが開いて)全力でエンジンを冷やしてしまっていると仮定しました。
ある日突然上記の現象が訪れるかもしれませんが、恐らく自車の場合は真夏の酷暑を過ぎたころからサーモスタットが開きっぱなしになり、冷却水の流量をコントロールできず気温低下にあわせて徐々に異変が見えてきた感じです。
故障が気になる方は
はっきりとした症状や状態がわからないけどなにか違和感を感じるかな?といった際は、行きつけの正規ディーラーや整備工場などでサービス診断機を使用して診てもらうか、信頼の置けるサービス担当や整備士に相談、判断してもらった方がイイと思います。
尚、サービス診断機を使用して診てもらう場合は有料の可能性がありますので、要確認。または、何かの整備に便乗して依頼した方がイイかもしれません。
【オーバークール修理内容】

意外にも高額出費
一昔前の感覚で、「サーモスタットは安いから」と気楽に思っていましたが、最近のクルマは機構が進化していて従来よりも高効率な「冷却水制御バルブ」という聞き慣れない部品に!
聞けば、この部品の中に制御弁が内蔵されており、今では主流だそう。ただし、カーディーラーでは過走行車でなくても修理交換はある話だったので、メーカー延長保証へ加入検討することをお勧めします。
元々の作業工賃も高めの設定なので…
修理交換後にわかったこと
冷却水制御バルブは、エンジン内の複数の冷却水流路を1つの部品で適正に制御する事により、早期暖機、燃焼改善、冷却の効率化で燃費等の向上を図る物ということですが、他の車種に比べ自車のディーゼルエンジンは多少暖機をするのに時間がかかるとのこと。
暖機のおすすめ
最近の新型車は大幅に技術進歩し、以前のような停車したままの過度の暖機は逆に余計なエネルギーロスを生むだけです。ですが、クルマもエンジンも複数の部品から成り立つ機械である以上、それぞれの部品が仕事をし始めるまでには、人と同様に多少の準備運動が必要になります。
世の中のレースカーでも必ずウォーミングアップは行っていますからね。
必要なのは暖機走行(ウォームアップ走行)
そこで、故障部品を交換して他に異常がない状態、且つオーバークールを気にする寒い時期に暖機時間の統計を取ってみました。
以下は自身が共感できる参考記事になります。
まとめ
今回自車でオーバークールに見舞われて改めて感じたことは、暖機運転<暖機走行を行うことは、一見無駄なように見えて、実はクルマの健康状態を知る方法の一つとしてとっても基本的なこと、ということでした。
エンジンの故障においてはより危険な「オーバーヒート」もあるので、ラジエーターなども含めた定期的なメインテナンスも怠らないように気を付けて行きましょう!
体験したオーバークールの症状
- クルマの暖房(ヒーター)の効き具合が弱い
- メーター内の水温警告灯の青ランプがなかなか消えない
- (水温計の針がH方向に上がりにくい)
- 最近燃費が悪くなった気がする
- いつもよりエンジンルームからの振動を感じる
- いつもより排気ガスが臭い
オーバークールの原因探しで行ったこと
- 水温警告灯青の消灯までの時間計測
- 消灯してから走行中に再現(点灯)するかどうか
- エンジンルーム内のラジエーターホースが熱くなっていない
停車したままの暖機運転ではなく、エンジン始動後はゆっくり大人しく暖機走行がイイ。
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